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「エグータムプレミアム」

「エグータムプレミアム」物語


    〈 作 ジャムヘアーサロン 〉



✨誰にも見えない、わたしの奇跡



久美子(49)(仮名)は、朝5時には起き出し、家族の朝食とお弁当を用意する。



夫は無口で、感謝など言わない。


大学生の娘はスマホを見たまま、小さな声で「行ってきます」と出ていく。



昼はパート、帰ればまた夕飯の支度。



そんな毎日に追われるある朝、ふと台所の窓に映る自分の顔に目をやった。



疲れきった顔。


そして、まつげまでもが、短く、色を失っていた。



「ああ、女って、こうやって少しずつ終わっていくんだ…」



──そんなある日。



行きつけの美容室《ジャム》で、ふと目に入った


ひときわ目を引く、小さな箱とPOP。



『エグータムプレミアム』


 ― 夜に、ひと塗り


  まつげの密度も、人生の密度も、もう一度 ―



その言葉に、なぜか、胸がじんとした。



会計のとき、「ついでにコレも」と手に取る。


それは、久しぶりに“自分のため”に買ったものだった。



その夜、誰にも見られないように、洗面所の鏡に向かって


そっとまつげの生え際に、細筆をすべらせる。



それは、久美子にとっての「わたしだけの5分」になった。



毎晩、塗るたびに


胸の奥が、少しずつ満たされていくようだった。



1ヶ月が過ぎた頃、ふと娘が言った。



「ママ、なんか…目元きれい。アイライン変えた?


今の方が…なんかいいね。」



「そーお? 嬉しいな。」



久美子は照れくさそうに笑い、娘もつられて笑った。



きっと誰にも気づかれないと思っていた。


でも、本当は——気づいてほしかった。



私だって、「わたし」を、あきらめない。



まつげは、少しずつ濃く


ハリをまとって、しなやかに伸びていく。



誰にも見えないところで、自分をあきらめなかった奇跡。



そう。しなやかに伸びていたのは——


まつげだけじゃなかった。










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