「いつかの石けん」
- Takemi Kaneko

- 7月31日
- 読了時間: 1分
「いつかの石けん」物語
〈 作 ジャムヘアーサロン 〉
私、ずっと気になってた。
「いちご鼻」
いくら洗顔しても取れない角栓が、
毛穴の奥で根を張っている。
そんな私に、神がほほ笑んだ。
ジャムヘアーサロンで手に入れた──
「いつかの石けん」
ネーミングはどうかと思うが、
酵素の泡でパックして、
放置、たったの25秒!
短っ!!
お風呂の湯加減を見ながら
かき回してたら、もう流すタイミングやん。
そして──
事件はその25秒後に起きた。
シャワーで泡を流した刹那、
あの憎き角栓が…
酵素に根こそぎやられたらしく、
毛穴の奥からゴボッと退散してた。
鏡を見たら、鼻の頭が──
つるんっつるん!!!
感激してガッツポーズで叫んだ瞬間、
棚に激突。
化粧品も掃除道具も、全部ぶちまけた。
毛穴の事件が惨劇を招いたが、
鼻は、史上最高にきれいになった。
ただ…
つるピカ鼻に夢中の彼女は、
肌がワントーン明るくなったことには
まだ気づいていない──。





コメント